コラム

研修による人材の能力向上だけが、すべての答えではない

2022年1月6日(木)

サイコム・ブレインズ(インドネシア) カウントリー・マネジャー

ヌグラヘニ リンタン


皆様、お元気でしょうか。過去2年間、我々はあらゆる面で新型コロナウイルスの影響を受けましたが、2022年はウイルス減退後の経済正常化を見据えた準備が必要です。

人材育成は重要な課題ですが、この2年間は会場に人を集めての講義が制限され、育成施策が停滞している企業もあることと存じます。一方で、オンラインツールの活用や、少人数での研修実施等の工夫により、育成を実現してきた企業もいらっしゃいます。サイコム・ブレインズ インドネシアも、こういったコロナ下の企業様を支援する中で多くの経験・ノウハウを蓄積してまいりました。今後も、調整や改善を重ねていき、より柔軟かつ効果の高い人材育成プロジェクトを提案していきたいと思っています。

2018年にインドネシア研修事業におけるカントリーマネジャーになってから、私リンタンは数多くの日系企業様の経営陣とディスカッションをしてまいりました。その中で「今後の展開」について、よく話題になるテーマがあります。

・いつかこの会社をローカルの従業員に任せたい

・日本人がいなくても回る会社にしたい

・インドネシア人にも日本人と同じ意思決定ができるようになってもらいたい

いずれも素晴らしい目標で、私も日系企業で働いているインドネシア人としてそれを聞くと期待が大きく膨らみます。一方で、このような素晴らしい目標があっても「いつまでに実現するのか」「そのために今からやるべきことは何か」といった具体的な計画を持っている日本人経営陣はそう多くはいらっしゃいません。それはなぜでしょうか。

目標を実現するには、まずは「現状の理解」が大切です。具体的には、ゴール達成のために必要なケイパビリティ(組織・仕事のタスク・それを実現する人材)と今現在の自社のケイパビリティとのギャップを理解することが必要です。この現状の理解がしっかりとできていないためにローカル社員の育成が進んでいない、というケースが多いように感じます。では、どのように自社の現状を理解したらよいのでしょうか?意外に思われるかもしれませんが、研修を実施し、受講生の理解度や参画の様子、発表の内容を見ていくことで、現状が明らかになることが多いのです。

研修は従業員本人の知識・学び・気付きのきっかけになるだけではなく、現在のスキルや能力を周囲や会社が認識する機会にもなります。また、従業員向けの研修だけでなく、経営陣に対する研修も、組織が今までやってきたことや現状を、これまでと異なる視点から客観的にとらえなおす機会として活用できます。

ケイパビリティギャップを解決する上で、研修が担う効果は「人材のスキル・能力の向上」に限りません。実のところ、人が何によって成長するかを表す時に使われるフレームワーク「70:20:10の法則」よると、人材のスキル・能力の向上において、研修は10%にしか貢献していないそうです。特に日系企業では、OJTを重視することもあり、研修導入に慎重になる企業様も多くお見受けします。しかしながら、研修はスキル・能力を向上させる効果だけでなく、従業員ひとり一人が自身の現状を客観視する、経営陣からの期待値を理解する、役割を認識する、チームとして一緒に働く意欲を高めるなどの、ギャップを把握・解決するうえでの別の効果も数多くあるのです。「自社の現状が把握できていなくても、効果的な研修企画はできるのだろうか?」と不安に感じられている企業様は、ぜひこういった研修の側面をご活用いただければと思います。

同時に、研修効果をさらに高めるために、経営陣が振り返るべき点が二つあります。

1. 従業員の成長につながるチャレンジングな仕事・課題を与えているか

2. リーダーとしてメンタリングやコーチングといった適切なサポートをしているか

経営陣が継続的に社員の成長に関わり続けること、そして、その関与の度合いによって従業員の成長は大きく左右されます。

最後になりますが、貴社インドネシア拠点における目標達成のための人材育成戦略ならびにローカルスタッフの課題解決について、ご相談がありましたら、いつでもお気軽にご連絡くださいませ。それでは、皆様、本年もよろしくお願いいたします。
Selamat Tahun Baru 2022!

(サイコム・ブレインズ インドネシア カウントリー・マネジャー/ヌグラヘニ リンタン)

 

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