コラム

お客様第一と駐車場

日本の企業に新入社員として入るとまず学ぶことの一つに、いかにお客様第一を体現するかがあります。お客様は一番良い席(上座)に座り、名刺は大事に両手で、エレベーターは先におりていただく、出口までお見送りする、飲み物、食べ物はお客様に先にお出しする等々。日本の外にでるとここまで「お客様」にあれやこれやと気を使う国はそんなにないのかなとも思います。

さて、インドネシアで企業巡りをしていたある日、日本生活の経験の長い弊社の社員が門の近くに駐車しようとしたら警備員に注意され、奥の駐車場に移動するように案内されました。そこでこの社員がぶつぶつ言い始めました。「ゲスト用駐車場が遠い場所にありますよねえ。ほら、ここ、玄関のそばは会社のトップの方たちの車の場所だからとめてはいけないんですよ。」「確かに、日本だったらお客様用駐車場は出入り口の近くの便利なところにあるような気がするな、、、」

そこで急に、我々は気づいたのです。駐車場の場所にも文化が反映されていることを。

インドネシアは、日本よりも「上司が絶対」で会社のトップのことを皆が恐れ敬うという価値観が強いのです。また、自分の所属する「グループ、組織」を非常に大切にしその中での関係性を良くしようと心を砕く傾向が日本より高いのです。ですから、自分の所属するグループのトップは、お客様よりも大切な存在と感じるのは自然なのです。インドネシアの方から見れば、社長の駐車場よりお客様の駐車場が良いところにあるなんて日本の習慣は不思議に映ることでしょう。

そんな話をある企業でシェアしましたら、「いや、うちは日系企業ですけど、日本の本社の社長用の駐車場は一番いいところにありますよ」と反論されました。この企業は創業家一族が代々社長を務めており、非常に強いトップダウンの文化で有名な企業です。

駐車場から国の文化や、社風が見えてくる、、、そして一緒にそれを面白がることでインドネシア人と日本人、お互いの理解が深まります。皆さんも、異文化理論を学んでその面白さを体感してみませんか?

サイコム・ブレインズ ディレクター/シニアコンサルタント 勝幹子

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